ラーメン屋さんには製麺所の麺を使っているお店と、自家製麺を使っているお店があります。
こだわりの麺をお店で毎日作っていて、麺がイチオシポイントのお店もたくさんありますよね。
では製麺所の麺とお店でつくる自家製麺の違いは具体的にどこにあるんでしょうか?
もちろん素材や製法、製造量や仕入れ、保存方法…多くの違いがありますが、今回はそんな『自家製麺と製麺所の麺のちがい』についてを中心にお話ししてみたいと思います!
製麺所の麺と自家製麺について
最近は自家製麺のお店がとても多くなったなと感じていて、自分自身も自家製麺のお店に行って美味しいなと思うことはかなりたくさんあります。かなりこだわった方法で作っているお店もあって、自家製麺というのが1つの魅力として受け入れられているなと思います。
その中で製麺所が生き残るためには色々なバリエーションを持つことと、困ったことがあればすぐに駆けつけられるというメリットをお客様に感じてもらえるかどうかが大事だと思っているんです。
自家製麺のお店だと保湿剤を使っていないとか、数種類の小麦を多用して美味しい麺を作られているというのがポイントになっていますが、それを続けるには時間と労力とそのための人員の確保が必要というのは営業をして回っている中でも感じる部分です。
自家製麺と製麺所の麺を比べるというのは正直よくないことだと思っていて、それぞれに良いところが沢山あるんです。
我々のような製麺所の特徴としては、安定した製造とロットを確保することができるのが1つ。そしてお客様が困った時にはすぐに駆けつけられるという部分です。
自家製麺のお店で人が足りなくて自家製麺をやめる…というお話を聞くことも割とあって、そうゆう時に相談をいただいた場合はそのこだわりや想いを我々が引き継いで同じ麺を作らせていただくことが使命だと思っています。
なので製麺所と自家製麺の間にあるのは違いというよりもこだわりなどの想いを受け継いでいくのが製麺所の仕事だと思っていて、違いというのは無いかなと感じています。
製麺機のサイズはどれくらい違うのか?
個人店さんでは3〜10キロほどの製麺機を使っているところが多く、製麺会社は25キロの袋を3つ入れて作るような大きなサイズの機会を使っています。
製麺所ではその方が安定したクオリティーの麺をミスなく作ることができるので、必然的に製麺機の大きさには違いがあるということです。
また、工場の中の環境によって麺の仕上がりは変化します。夏場、冬場、水温が違えば少しの差で違いが生まれますし、粉にも米でいう新米から古米への変化と同じ現象が起こるので環境面には製麺所でも非常に神経を使っております。
工場の環境が変われば影響が出るので、それに常に気をつけながら日々製造しています。
中華麺の賞味期限は?
中華麺の賞味期限はそれぞれの麺によって変わりますが、だいたい10〜14日が目安です。
水が多く入っているいわゆる多加水麺はカビが生えやすかったりするので10日くらい、水が少なめの低加水麺は14日くらいを賞味期限とみていただければ大丈夫です。
製麺所でもすぐに腐るようなものは作っていませんので、ちゃんと保湿剤を入れて自社管理をしたものを毎回お客様に提供しています。
お届けする時の配送は基本冷蔵便ですが、最近はヤマト宅急便さんでお願いしていても配送料金の値上がりを避けられなくなってきています。そういった状況も考慮しながら配送の手配をしていて、例えば常温品に関しては寒い時期に冷蔵で送ると麺が冷たくなってしまうので常温での配送を希望するお客様もいらっしゃいます。
そのあたりは臨機応変に選択して出荷手配させていただきます!
中華麺の粉はどんな粉?
中華麺の主原料は小麦です。しかし小麦と水だけで麺を作るとうどんになってしまうので、中華麺にするためにはポイントがいくつかあります。
小麦と水を加えてこねるとうどんのように強いコシが出ますが、それは水分が多いのが理由です。ですが中華麺にはそんなにたくさんの水を入れる事ができないので、コシが弱くなってしまう傾向がります。なのでコシを出すために『かんすい』という粉を使い、かんすいと水を合わせたものを小麦と一緒にする事で中華麺にコシが生まれるという仕組みになっています。
もう1つ、食塩を入れるのも中華麺の特徴です。食塩を入れる理由は茹で時間の短縮が可能になるということ。中華麺の茹で時間が短めなのは食塩の効果もあるんですね。
また、味噌ラーメンの麺のように黄色い色味を出したい場合はクチナシ色素を追加したり、博多麺のように表面をしっかり仕上げてパツっとした感じにしたいのであれば卵白・卵の殻を粉末にしたものを入れて麺の表面をコーティングすることもあります。そうすることで麺に水分が入りにくくなったりという効果が生まれます。
かんすいの力って何?
かんすいを入れてコシを強くするとお話ししましたが、これにはグルテンの作用が関係しています。生地にかんすいを入れることで生地を伸ばした時にグッと元の形状に戻るようになります。パンをつくる時と同じです。
この小麦とかんすいの力を使ってコシを出した中華麺にさらにグルテンを追加する事でよりコシの強い麺に仕上げるということもあります。
製麺所ではこういったパターンを駆使してお客様の要望に応えるべく努力しています。
小麦粉の種類について
小麦粉の種類はとてもたくさんあって、今年も外食産業展に行きましたが新しい粉が色々と登場していました。製粉会社さんもラーメンの進化に対応できるように新しく色んな粉を作り出しています。
自分一人では思いつかないような配合の粉がどんどん出てきますが、新しい粉が登場しつつも昔からある粉も残っていくのでもう数え切れないくらい種類が増えています…製麺屋としてはなかなか大変!日々勉強です。
海外産の小麦も使用します!
製麺所によって様々だと思いますが、太陽食品では海外産の小麦も積極的に多く扱っています。国内産のものと合わせて最適な粉を選び、お客様のニーズに応えられるように色々な材料、配合に対応中です。
粉の配合はどうやって決めるのか?
お客様の求める麺によって常に変えていきますが、1つの粉では作れないものを2つ3つと複数種の粉の良いところを掛け合わせて完成させるのが粉のブレンドを行う目的です。
例えば小麦の香りを強く出したいから強力粉を使いたい。でも強力粉を使うともっちりとした食感を出す事は出来ない…。そこで準強力粉や中力粉を入れることで強力粉だけでは出せない部分を補うことがあります。そんな風に粉の特徴を生かすのがブレンドです。
麺の中には1つの粉で作れるものもあれば2つ3つと数種類の粉を合わせる事でこだわりや好みに合った麺を作ることができることもありますので、1つ1つの粉の良いところを生かしてオリジナルの麺を作っていきましょう!というのが私たち太陽食品のスタンスになっています。
粉を選んだだけで好みや目的に合った麺を作れるのか?というと単純にそうゆうわけではないので、粉を選んで適切にブレンドすることで理想の麺をつくるように工夫しています。
<強力粉がメインの麺>
博多麺のような食感と風味を際立たせたい麺には強力粉がメインに使われます。しかし最近は博多ラーメンに限らず色んなラーメン屋さんが強力粉を使った麺を使うようになっていて、歯ごたえのある麺が人気です。
例えばパスタに使うようなものやパンに使うような強力粉は小麦の香りをすごく出したい!という依頼などに合わせて使っています。
<中力粉がメインの麺>
中力粉のみで麺を作る事はなくて、大抵は準強力粉と合わせて麺を作っています。柔らかさや滑らかさを出したい時に使われるのが中力粉です。
強力粉だと水が入りにくい粉もあったりするので、そうゆう時には中力粉を入れて補ったりという役割にすることもあります。
ブレンドの流行や変遷とは?
ラーメン界にはまず、いわゆる昔ながらの塩、醤油、味噌のスープのラーメンがあって、そこにつけ麺文化が入ってきたことでゴワゴワっとした食感の麺が増えてきました。そこにまぜそばが来て、煮干しラーメンが来て…という風にラーメンのジャンルが増えることで麺の傾向がどんどん変わっているので、昔ながらの中華麺から始まって時代に合わせてどんどん派生していってるのは麺に関しても同じです。
今の傾向でいうと、塩や醤油といった昔はあっさりしたラーメンだったものが濃くなって、透き通ったような見た目のラーメンが増えてきました。そういったスープに全粒粉を使ったり、歯ごたえのある麺を使ったり…そうやって様々なスープの傾向やジャンルが広がっていて、麺の流行も同じように変化しています。
中華麺のベストな保存方法は?
基本的には手元に届いたら冷蔵庫に入れていただくのが好ましいです。
なぜ冷蔵庫なのかというと、ラーメンの麺は作ってからすぐに美味しいのではなくて『熟成』という期間をおいて美味しくなるからです。なので1日目に作ったものが届いて、それを3日後に食べるのが美味しいという特性があります。
この3日目に食べたほうがいいというのは、熟成をすることによって麺の小麦と水がうまく混ざり合って最高の状態になるという仕組みだからです。なので3日目あたりから10日〜14日の間で段々と美味しさが上がっていき、それからゆっくりと味が落ちていくというイメージ。その期間の中でお客様に実食していただければ麺は美味しく食べることができます。
1点注意点として、冷蔵庫に入っている麺を取り出したらそのまま使わないのがポイントです。
なぜかというと冷蔵庫の中に入れておいた麺は芯まで冷えている状態なので、茹で上がりに食感が若干変わってくるんですね。
なので、できれば麺は使う2時間前に取り出して常温に戻してから使用したほうが麺の食感や風味が損なわれず、オススメです。
中華麺は冷凍しても大丈夫?
基本的にはNGです!
冷凍すると水分が固まってしまうので、室温に戻しても状態が良くならないと思います。個人的には冷凍はしないほうがいいかなと思っていますのであまりオススメではありません。
常温での保存でも大丈夫?
12月〜2月くらいの本当に寒い時期であれば、極端に言ってしまえば大丈夫かなとは思います。もちろん室温の低い冷暗所での保存が条件です。
保存温度が高くなってしまえばしまうほど麺の熟成はどんどん進んでしまうので、麺の塾生から味が落ちるまでが急転直下になってしまいます。それを防ぐために冷蔵庫の保存が1番いいと思います!
お店に合った麺を最適な状態で届けます!
麺の製造や保存についてご紹介してきましたが、やはりラーメンに合う麺は十人十色。十麺十色といった感じです。
自家製麺が良い場合もあれば、製麺所の麺にメリットがある場合もありますので、ラーメンに合った麺を選んで使っていただくのが一番だと思います。
その中で新しい麺が欲しい、コストが気になる、自家製しきれなくなってしまった…という悩みがある場合は是非一度、太陽食品にお声がけください!
最適な形でお手伝いができるように日々準備しておりますので、お気軽にどうぞ!